夏の鎌倉と聞いて、どんな景色を思い浮かべますか。
緑豊かな山々と、歴史を感じる寺社仏閣。
のんびりと街を走る江ノ電。
青く広がる海と、夕暮れの浜辺。
そして、夜空いっぱいに咲く大輪の花火。
毎年多くの人が訪れるのが鎌倉花火大会です。
2026年は、7月10日(金)の開催が予定されています。
昨年は高波と強風の影響により、残念ながら開催中止となりました。
そのため、今年は2年ぶりの開催となり、多くの人が待ち望む一日になりそうです。
78回の歴史をつないできた、鎌倉花火大会
鎌倉花火大会は、1948年(昭和23年)、終戦からわずか3年後に始まりました。
戦没者への鎮魂と、復興へ歩み始めた人々に希望や元気を届けたいという願いが込められて開催されたのが始まりです。
今年で第78回。時代が変わっても、夏になると多くの人が同じ浜辺へ集まり、夜空を見上げる風景は受け継がれてきました。
家族と来る人。
友人と笑い合う人。
大切な人と静かに花火を待つ人。
それぞれの夏の思い出が、この海辺には少しずつ積み重なっています。
そんな歴史を知ると、花火大会はイベントというより、鎌倉の夏を彩る風景の一つなのだと感じられます。
朝は少し早起きして、鎌倉へ向かう
鎌倉花火大会の日は、夕方が近づくにつれて鎌倉駅や江ノ電は急激に混雑します。
飲食店には長い列ができ、浜辺では花火を観るための場所取りが始まり、街全体が少しずつ夏祭りの空気へと変わっていきます。
鎌倉をゆっくり楽しみたいなら、午前中に到着するのがおすすめ。
朝の鎌倉には、まだゆったりとした時間が流れています。
早朝から営業しているカフェやレストランで朝食を楽しみ、一日をゆっくりと始めるのも、この時間ならではの贅沢です。
朝8時から始まる連売(鎌倉市農協連即売所)と呼ばれる青物市場には、農家さんが朝採れの新鮮な野菜を並べ、地元の方や近隣のレストランのシェフが買い物に訪れます。
焼きたてのパンの香りが漂い、自転車で買い物へ向かう地元の人たちが行き交う朝の風景。
観光客で賑わう時間帯とは違い、この街が普段見せている穏やかな表情に出会える時間です。
今日は、環(たまき)さんと一緒に、花火大会の日の鎌倉を歩いてみましょう。
「今日は花火大会だから、夕方はきっと混むよね。」
そうつぶやきながら、環さんはいつもより少し早起きして鎌倉へ向かいました。
「どこへ行こうかな。」
予定を細かく決めず、その日の気分に任せて歩けるのも、午前中から訪れる魅力のひとつです。
7月の鎌倉の気候
鎌倉の空気を感じながらゆっくり街を歩いていると、コーヒーを淹れる香りがふわりと漂ってきました。
古くから愛されるお店の隣には、小さなギャラリーや雑貨店が並び、気になる路地へふらりと入れば、思いがけない景色に出会えるのも鎌倉らしさ。
由比ヶ浜通りを歩きながら、環さんは今日の服装について考えていました。
「この服でちょうどよかったかな。」
歩き始めてしばらくすると、思っていた以上に日差しが強く感じられました。
それでも、風通しのよい天然素材の服を選んできたおかげで、暑さはそれほど気になりません。
初めて鎌倉花火大会へ訪れる方も、「7月の鎌倉はどんな服装がいいの?」と気になるのではないでしょうか。
7月の鎌倉は、日中の最高気温が30℃を超える日も多く、本格的な夏を迎える季節。
強い日差しの中を歩く時間もあるため、薄手のコットンや、汗をかいても乾きやすいリネンなど、風通しのよい天然素材の装いがおすすめです。
一方で、海辺には鎌倉ならではの海風があります。昼間は暑くても、夕暮れになるにつれて浜辺では心地よい風が吹き始め、花火を待つ頃には少し涼しく感じることもあります。
環さんは「カーディガンか、薄手のシャツ。それともストールを一枚持ってくればよかったかな。」
そんなことを思いながら歩いていると、一軒の小さな店、MARの前で足を止め、入りました。
「何か新しいもの、入荷してるかな。」
大きな看板があるわけでもなく、静かに佇む店内には、穏やかな音楽が流れ、天然素材の服や、主張しすぎないミニマムな小物が並んでいます。
誰かに急かされることなく、自分のペースでゆっくり服を眺める時間。
その心地よさに包まれながら、環さんは鏡の前で薄手のリネンシャツを合わせてみました。
すると、夕暮れの海辺を歩く自分の姿が自然と思い浮かびます。
「これなら、夕方の海風も心地よく過ごせそう。」
そう思うと、この一枚がますます魅力的に感じられました。
服は、その日の予定に合わせるためだけのものではなく、自分が心地よく過ごすためのもの。
そんなことを思いながら、環さんはお気に入りの一枚を手に取り、お店を後にしました。
「きっと今日の夕方には、役に立つ気がする。」
そんな予感がしていたのです。
昼は海の家へ。由比ヶ浜と材木座、それぞれの楽しみ方
気がつくと、時計の針はちょうどお昼を少し過ぎたところでした。
夏の日差しは朝よりも力強くなっています。
「そろそろ海へ行こう!」
そう思って歩き始めると、潮の香りを含んだ風が少しずつ近づいてきました。
海へ向かう途中、環さんは少しだけ立ち止まりました。
今日は、由比ヶ浜へ行こうか。それとも材木座へ行こうか。
鎌倉には、隣り合いながらも異なる魅力を持つ二つの海水浴場があります。
由比ヶ浜海岸は、鎌倉を代表する海水浴場。個性豊かな海の家が立ち並び、それぞれのお店が音楽や料理、インテリアにもこだわり、夏らしい賑わいに包まれます。
友人同士で楽しんだり、夏らしい雰囲気を思い切り味わいたい方にはぴったりの場所です。
一方の材木座海岸は、由比ヶ浜に比べると比較的ゆったりとした空気が流れています。
地元の方が散歩をしたり、読書をしたり、海を眺めながら思い思いの時間を過ごしている姿もよく見られます。
観光の賑わいを楽しみたいなら由比ヶ浜。
静かな海辺でのんびり過ごしたいなら材木座。
どちらにも違った魅力があり、その日の気分で選べるのも鎌倉ならではです。
今日は花火大会の日。環さんは、「せっかくだから夏らしい景色を満喫したいな」と、由比ヶ浜海岸へ向かうことにしました。
海の家で過ごす、ゆったりとした午後
海の家のテラス席へ座ると、目の前には青い海が広がっていました。
冷たい飲み物を片手に波の音を聞いていると、歩き続けていた身体の熱も少しずつ和らいでいきます。
「この時間があるから、花火までの時間がもっと特別になるんだね。」
環さんは友人と顔を見合わせ、穏やかに微笑みました。
ランチのあとは、パラソルの下でのんびり過ごすことに。
他愛もない話をしたり、足だけ海へ入って涼んだり。何気ない時間が、心をゆっくりとほどいてくれます。
気がつけば、太陽は少しずつ西へ傾き、浜辺には夕方の気配が漂い始めていました。
「そろそろシャワーを浴びて、花火の準備をしようか。」
環さんは立ち上がり、海の家へ向かって歩き始めました。
海の家のシャワーで、夜を迎える準備
海の家のシャワーでさっぱりすると、潮の香りをまとっていた肌が軽くなりました。
髪を整え、お気に入りのイヤリングを身につける。昼間とは少し違う自分になったような気がします。
浜辺へ戻ると、花火を待つ人たちが思い思いにシートを広げ始めていました。
空は夕焼けに染まりはじめていました。
昼間はあれほど強かった日差しもやわらぎ、海から吹く風が心地よく頬をなでます。
環さんは先ほど求めたシャツを取り出し、そっと羽織りました。
「やっぱりあってよかった。」
そんな小さな安心感も、夏の鎌倉で過ごす夜の心地よさにつながっているようでした。
砂浜で花火を観る
身支度を終えた環さんは、「せっかくだから、今日は砂浜で観よう。」
友人のひと言にうなずきながら、砂浜へ降ります。
浜辺の中央は毎年多くの人で賑わっていますが、少しだけ歩いてみると景色は少し変わります。
由比ヶ浜海岸なら坂ノ下エリア、材木座海岸なら和賀江島周辺は穴場です。
その年の混雑状況にもよりますが、中央付近より比較的ゆったりと観覧できることがあります。
環さんたちも浜の端に向かい、人混みから少し離れた場所へシートを広げました。
シートを広げて座ると、海風が頬をやさしく通り抜けていきました。
花火大会の日は、海岸沿いの道路から眺める人も多くいます。
でも、砂浜に座って待つ時間には、それとは少し違う心地よさがあります。
78年受け継がれてきた、鎌倉の夏
鎌倉花火大会の歴史は、1948年(昭和23年)、終戦からわずか3年後に始まりました。
戦没者への鎮魂と、復興へ向かう人々に希望や元気を届けたいという願いが込められて始まった催しです。
今年で第78回。時代が変わり、街並みが変わっても、夏になると多くの人がこの海へ集まり、同じ夜空を見上げる風景は受け継がれてきました。
笑い合う家族。
友人と肩を並べる学生。
久しぶりに再会した人たち。
それぞれが違う思いでこの場所を訪れています。
でも、花火が始まれば、みんな同じ空を見上げています。
そんな時間が78回も続いてきたのだと思うと、環さんもこの景色がより愛おしく感じられました。
海だからこそ出会える、水中花火
やがて、浜辺が静かになります。
次の瞬間、お腹の奥まで響く大きな音とともに、一発目の花火が夜空へ打ち上がりました。
環さんはその迫力に圧倒されました。
夜空いっぱいに広がる光。
海面に映るきらめき。
「浜で観ることにしてよかったね。」
周りを気にすることなく夜空を見上げることができ、海と夜空がゆっくりと一つにつながっていく景色。
この日の思い出の一つになっていくのでした。
そして、鎌倉花火大会ならではの見どころ、水中花火が始まりました。
船から海へ花火玉を投げ込み、水面で半円を描くように扇状へ広がる水中花火。
海の上に大きな花が咲いたような幻想的な光景は、鎌倉花火大会を代表する風物詩として、多くの人に親しまれています。
夜空へ高く咲く花火とは違い、水面いっぱいに広がる光は、空だけでなく海面にも映り込み、海のある鎌倉だからこそ見ることができる美しさです。
「この景色を観るために、鎌倉に来てよかった!」
その言葉は、誰かに話したわけでもなく、自然と心の中に浮かんできました。

季節を楽しむことは、暮らしを豊かにすること
忙しい毎日では、目的地へ向かうことばかりを考えてしまいます。
でも、時には立ち止まり、季節の移ろいをゆっくり感じる日があってもいいのかもしれません。
お気に入りの服を着て歩くこと。
海風を感じながら笑い合う。
ゆったりとした時間を楽しむこと。
そして、夜空いっぱいに広がる花火を静かに見上げること。
そんな一日があるだけで、毎日は少しだけ豊かになります。
今年の鎌倉花火大会は、花火だけを観に行くのではなく、鎌倉という街で夏の一日を過ごすことを目的に訪れてみてはいかがでしょうか。
朝の静かな街並みから始まり、海辺で過ごす午後、夕暮れの潮風、そして海と夜空を彩る花火。
その一日は、きっと来年の夏も思い出したくなる、大切な記憶になるはずです。
鎌倉花火大会を一日楽しむおすすめタイムスケジュール
8:00頃|鎌倉駅到着
カフェで軽めの朝食。朝ならではの穏やかな鎌倉を楽しみます。
9:00~12:00頃|街歩き・お気に入りのお店巡り
連売で鎌倉野菜をお買い物したり、路地のお店をのぞいたり。時間を決めずに歩くのがおすすめです。
12:00頃|海へ向かう
由比ヶ浜海岸なら賑やかな海の家を、材木座海岸なら落ち着いた海辺の時間を楽しめます。
12:30~15:00頃|海でゆっくり過ごす
海の家でランチを楽しみ、パラソルの下でくつろいだり、ときどき海へ入ったり。鎌倉の夏を満喫する時間です。
15:30頃|海の家でシャワー・身支度
汗や砂を流し、夕方の海風に備えて薄手の羽織りものを準備します。
16:00頃|浜辺で花火を待つ
少し早めにシートを広げ、夕暮れから夜へ移り変わる空を眺めながら、ゆっくり過ごします。
19:20~20:10頃|鎌倉花火大会
鎌倉名物の水中花火と、海面に映る幻想的な光を楽しみます。
終了後|余韻を楽しみながら帰路へ
混雑を避けるためにも、少し時間を置いて浜辺で余韻を楽しむのもおすすめです。
第78回 鎌倉花火大会
開催日時 :令和8年(2026年)7月10日(金)
※予備日なし
鑑賞マナー:鎌倉市海水浴場のマナー条例により、砂浜での飲酒・喫煙は禁止されています。
観覧エリアへ落下する恐れがあり、危険ですのでおやめください。



